教育 勅語の国民道徳協会訳文の何が意訳なのか 2

教育 勅語の国民道徳協会訳文の次に気になるところだ。

そして、国民は忠孝両全の道を全うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。 

うん、いい文章なんだが・・。

教育勅語の明治天皇の時代には、国民という概念がなかったんじゃないだろうか。

我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス


教育勅語のこの部分を素直に訳せば

我が臣民(家来)は、忠によく、孝によく、億兆(たくさん)の心を一つにし、世々にわたって、美をなしきたが、これは我が国体の精華(誇り)であり、教育の源(みなもと)も、またその中にある。

くらいじゃないだろうか。少し意訳を加えて、

私の家来は、みんな忠実で、孝も果たし、たくさんの人が協力して美しい国にしてきたことこそが、国柄で、国の誇りで、教育の根本もその中にある。

教育勅語の明治天皇の時代に、国民という概念は、なかったんじゃないだろうか。そりゃあみんな、当たり前に臣民であるw。臣下、家来の民である。そう教育勅語に書いてあるんだし憲法だってそうだし、無理に国民とする必要はないだろう。

教育勅語の最初の部分でも気になったが、道義立国・・だ。まあ、明治天皇のいろいろな発言や行い、また皇室の歴史などを考え合わせれば、そういう理念も理解できないではないが、教育勅語の訳に、道義立国を入れ込むのは無理が多いのではないだろうか。その単語、教育勅語の原文に出てこないし・・。

教育勅語のこれまでをさらに意訳すると、
私の祖先は徳が厚かった。そして、祖先だけじゃなく家来であるみんなが、心あわせて、いい国にしてくれた。これこそが、国の誇りで教育の根本だ。

明治天皇の時代、日本は立憲君主国だ。明治天皇は、王様という側面ももっている。
家柄なり神話を自分の王権の理由にして宣言する王様、自分の先祖や自分の功績を語る権力者は、勿論世界にたくさんいただろうけど、「臣民、家来であるみんなが、心をあわせて協力したから美しい国になった。それが国の誇りだ。それが教育の根本だ」という代表者、絶対権力者がいただろうか。
教育の勅語として、お前たち家来の業績は、国の誇りだ教育の根本だ、広く国内に語りかける例は、そういう絶対権力者、皇帝や王様は、少ないのじゃないだろうか。

どうだろう?
これ、王政がいいとかいう話じゃない。俺は民主主義がいい。戦争だっていやだ。いまさら戻れないし、戻るべきじゃない。
でも、そういう王様だったら、好きになれないかなw

教育勅語だけじゃないが、昭和の軍閥、軍国主義は、皇室を神格化し、結果として皇室を侮辱し、昔から、1000年あった敬慕の念を、破壊したと思う。

教育勅語の国民道徳協会訳文が書かれたであろう時代背景を思えば、責める気持ちにはなれないのだが、もっとありのままに訳して欲しいと思うのだ。

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2017年3月の追記
大阪の森の狂人学園のせいでしょうか、なんだかアクセスが増えています。数年ぶりに読み直し、ちょっと追加してみようと思います。 ここまで、お付き合いくださったならお気づきでしょうが、俺は、天皇家、皇室に